バスタブ
4th ぼくのかわいいくまさん
ガチャ、とドアノブが動く音がして、誰かが部屋に入ってくる気配。僕はうっすらと目を開ける。布団が捲られて、少し寒い。僕のベッドに侵入したその人の腕の中に、すっぽり抱きしめられる。熱いくらいの体温に、身じろぎました。
「・・・くまさん?」
とろりと、閉じられていた灰緑色の瞳が僕を見る。僕の大好きなひと。久間裕太郎さん。お酒の匂いがします。久間さんはもぞもぞとして、僕が抱きしめていた熊のぬいぐるみを取り上げました。昨日、久間さんが動物園で買ってくれたぬいぐるみです。ベッドの脇に投げるように置いて、久間さんは再び僕を抱きしめる。昨日会った時は、今日来るなんて言ってなかった。
胸にぎゅっとされているので息苦しい。身体を捩って、久間さんの肩の上に顔を出すと、空気が頬を冷やしてくれました。僕は冷え性ですが、久間さんにぴったりと密着されて、身体が火照る。
「ねぇ、ね・・・久間さん、あついの・・・はなして・・・」
少し汗ばみ始めていました。僕は久間さんの腕から出ようともがく。
「ん・・・っ」
大きな手が、パジャマの上から僕のお尻を揉みました。
「くまさ・・・」
綺麗な顔が近づいて、唇を食べられる。息をしようと思わず口を開けたとき、久間さんの舌が僕の中に入ってきて、僕は、腰を震わせました。
「ちゅ、ふ、ん、ちゅ、ちゅ・・・ぁ、ん・・・っふぁ・・・んちゅ、ぅ」
おちんちんが固くなる。久間さんにキスをされると、僕はえっちなことをして欲しくて我慢ができなくなります。久間さんは、それがわかってる。
「はぅ、ふ・・・ゆぅたろぅさん・・・」
じっとりと汗をかいて額にくっついた僕の前髪を久間さんがかきあげました。額にキスをされながら、ズボンとパンツを少し下ろされて、シャツがたくし上げられる。顔中にキスされながら素肌をまさぐられて、僕の身体はひくひく震えました。
「Я очень люблю тебя」
「・・・?や、おぅ・・・?ふぇ、なぁに・・・?」
久間さんは僕の身体を触る手を止めずに、また何か囁きます。声が耳にくすぐったくて、気持ちいい。
「ぁぅ・・・ん、ぁ、きゃ、ぁ、ぁ・・・ひ、ん・・・っ」
膨らんだおちんちんをもみもみされて、乳首をこりこりと指先で潰されて、僕は息を詰める。久間さんが僕を見ています。
「ひ、ぅ・・・でちゃぁ・・・」
情けない声が出ました。ちゅう、と促すように唇にキスをされて、僕は震える。呆気なく射精しました。
「ぁ、ぁはぁ、ぁ、ゃぁん・・・」
久間さんの手がくちゅ、くちゅ、と射精する僕のおちんちんを揉んでいます。
「はぅ、ぅ・・・ゃ、ぁ、ゃ・・・くましゃ・・・ふ、ぅ」
瞼が重い。うとうとします。
「・・・Я люблю тебя безумно」
どういう意味だろう。聞きたかったのに、僕は意識を手放してしまいました。
ぬいぐるみは僕から離れてベッドの隅に。目が覚めると久間さんはいなくて、部屋を出ると善治お兄ちゃんが水を持って真仁お兄ちゃんの部屋に行くところでした。
「おはよう、美哉。久間さん来てるぜ。兄貴を部屋に連れて来た記憶すらない程、昨晩は飲んだみたいだ」
珍しいよな、とお兄ちゃん。ドアを開けました。僕もお兄ちゃんに続いて部屋に入る。久間さんはソファーに座っていました。
「兄貴、久間さん、どうぞ」
「悪いな善治」
「善治君、ありがとう。美哉君!おはよう」
久間さんが僕を見る。いつものきらきらの笑顔です。覚えていないなんて、酷い。僕は久間さんの隣に座る。久間さんは嬉しそうに微笑みました。
「・・・くまさん、やぁ、りゅぶりゅー、ちびゃ、べずうー・・・」
昨日の言葉がどういう意味か聞こうとしただけなのに、みるみるうちに久間さんの耳が赤くなって、僕は言葉を失いました。
「何、美哉、久間に愛してるって」
真仁お兄ちゃんが言います。久間お前、美哉にまでイジられてるのか?と笑いました。
僕は昨夜の久間さんを思い出す。心臓がうるさくて、久間さんにぎゅっとしました。僕、今きっとお兄ちゃん達には見せられない顔をしてる。
「美哉くん、ロシア語を勉強しているの?」
違うけど、違わない。頭上から聞こえた嬉しそうな久間さんの声に、僕はこくりと頷きました。