バスタブ
こびりつく甘さ
1
スイッチを入れると金属のブレードが回転する。氷とバナナと牛乳と蜂蜜が、ガラスの中で砕かれ混ざる。蓋を押さえる俺、及川宏一(おいかわこういち)の手は振動を受けていた。騒音に、毎度のことながら眉を寄せてしまう。機械を停止させ、どろどろの液体になったバナナを2杯のグラスに注いでしまってから、レモン果汁を入れ忘れたことに気づいた。冷蔵庫に常備しているのに。
「あー・・・」
すっきりとした後味を付加し損ねたバナナジュース。一口飲んでみる。うん、まぁ、誤差の範囲か。なみなみと注いだもう一つのグラスも手に取る。
「陽、できたよ」
キッチンカウンターに置いた。カウンター席に座る弟の陽(みなみ)はいつものように愛らしく喜んで、ありがとうと言った。
「どういたしまして」
たくさん飲みたがる欲張りな陽のために先日買ったガラスのタンブラー。黄色がかった白い液体に映えるよう、色は緑を選んだ。やはりサーモンピンクでも良かったと、購入の際少し迷った色違いのグラスを思い出す。陽が持つ分には良いけれど、一人暮らしの男子大学生の部屋には不釣合いなので却下したのだが。
「お兄ちゃん、僕のために買ってくれたの?」
約300mlを既に飲み終えた陽が、俺の持つ背の低いロックグラスを見て言う。これを使うと陽はおかわりをしなければならない。
「そう、陽のために買ったんだ」
陽が嬉しそうに微笑む。実家にいた頃は甘やかさないでと母に怒られていた。ここでは俺を窘める人はいない。その代わりに陽と毎日会うことは出来なくなったけれど、それも、実の弟に手を出したくなる欲求を毎日抑えずに済むのに役立っている。
物憂げで儚い雰囲気をもつ弟は、無意識の色気で俺を苛む。勿論、わかっている。俺がそういう風に見るから、そう見えるのだ。陽は悪くない。
小学校の低学年でありながら、電車を乗り継ぎ不定期に俺のマンションを訪れる陽。手間と時間をかけてわざわざここへ来るのは、いつも何か悩みがある時だ。
「今日はどうしたんだ?」
陽の唇の端に乳白色のジュースがついている。舐め取ったら驚くだろうか。そんなことを考えながら、濡れた布巾で優しく拭ってやる。
陽は俺をじっと見てから、俯いてしまった。俺にも言い難いことらしい。あまりない反応だ。頭を撫でて、それとなく促す。おずおずと、陽が顔を上げた。
「見てほしいものがあるの・・・」
2
椅子からおりた陽が俺の手を引く。カウンターから離れてソファーの方へ進む。陽がラグに座ったので、俺も陽の正面に腰を下ろした。
「お父さんにも、お母さんにも、言えなくて」
そう言って、陽は青いパーカーを脱いだ。薄い黒色の肌着も一緒に。白い素肌をまとった華奢な骨格が現れる。滑らかだ。触れたくなる欲求を抑える。見慣れないものが目に留まった。
「絆創膏・・・?」
乳首を隠すように少し大きめ、正方形の絆創膏が2枚貼られている。陽を見ると、泣きそうになっていた。
「痛いのか?怪我?」
自分で言いながら、ピンポイントで両方の乳首を怪我する状況など全く浮かばない。陽は予想通り首を横に振った。
「違うの・・・」
言葉に詰まっているのか、言うのを躊躇っているのか、陽は唇を噛む。焦れったくて、俺は外してもいいかと聞いた。
「見せたいものって、これなんだろ?」
こくんと頷く。俺は左手で陽の肩を取って、右手の爪を片方の絆創膏にかけた。
「ンっ、」
痛くないようにゆっくり剥がしたつもりだったが、陽は少し震えて声を漏らす。
そこには、乳首があった。血も出ていなければ、かさぶたもない。だけど。
俺はごくんと唾を飲んだ。
「ぉにぃちゃんは、どぅ、おもぅ・・・?」
不安そうに陽が俺を覗き込む。どうって陽。俺は、凄くエロいと思っただなんて言えない。
ぽろぽろと涙を流し始めてしまった陽に、俺は為す術もなく狼狽えた。まさか、弟はエロい乳首に悩んでいるというのだろうか。
「ぅ、ぅっ・・・たいぃくの、きがえのときにね、」
喋りながら時々しゃくりあげる。
「ともだちに、ちくび、・・・ぉぉきぃって、ぃわれて・・・っ」
陽の乳首は平均的な成人女性くらいの大きさをしていた。病気などではなく、男としての個体差の範囲内であるとは思う。それでも、陽の乳輪と乳頭は周りの子のからかいの要素になってもおかしくはなかった。そして、エロいのは、大きさだけじゃない。陽のそれは、綺麗なピンク色をしている。
「言われたのは、大きいってことだけ?」
陽が涙目で俺を見た。じわじわと、大きな黒い瞳が潤む。
「・・・っ、ぇ、えろぃって・・・みなみは、っ、えろだ、って・・・」
恥ずかしいのだろう、陽は真っ赤になった。
ただエロと言うのも躊躇う、陽のうぶな様子に俺は涎を垂らさんばかりだ。陽をからかっているクラスメイトの気持ちが、大体想像できる。
「残念だけど、小さくすることはできない。それに大きさはただのきっかけで、陽の反応を面白がっているんだろう」
どうしたらいいの、と陽が問う。
「・・・慣れるしかないんじゃないかな。そもそも陽は、エロを誤解しているようだし」
またとない好機だと、悪魔が囁いた。
3
「ひぃンっ・・・ふ、ぅ、あ、ゃ、ぁぁん・・・」
指先で押さない程度に触れて、上下にくりくりと弄る。艷やかでつるりとしているのに、血が通って温かい、ぷっくりとした肉の芽。背徳的でたまらない。
「ぁぅ、おにぃちゃ・・・」
仰け反らせた胸を、ラグにつけた2本の細い腕で支える陽が震える。俺はもう片方の絆創膏も外した。少し蒸れている。息を吹きかけただけで、陽は嬌声を上げた。
「陽の乳首がエロいんじゃなくて、陽の見た目の全てがエロくて、反応も可愛いからそれがまたエロい」
ショックを受けている陽をよそに、俺は陽の触って欲しそうに膨れている乳頭に舌を当てる。
「ひにゃ、ぅ・・・」
陽を押し倒して、舌を這わせた。ぷにぷにの乳首が唾液で濡れ、光る。舌先で何度も、舐め上げた。
「ぁ、ぁ、ゃ・・・っ、やら、ゃぁぁんっ・・・」
「は、たまんない」
陽の涙を舐めとる。清潔で甘い肌の匂いに、深く息を吸った。頬、首、鎖骨。唇をつけて、滑らかさを堪能しながら、脇腹を撫でる。親指の先に突起が触れた。片方は、まだ俺の唾液でぬるついている。
「ゃぁぁん、ぅふ・・・ひ、ぁ、ちくび、ゃ、じんじん、しちゃ・・・」
俺の身体の下で陽の四肢がひくひくと跳ねる。陽が腰を揺らしていることに気づいて、片手でズボンとパンツを引き下ろした。
「!・・・ゃぁ・・・っ」
逃げようともがくのを、阻む。小さな、まだ毛も生えていない性器がぴょこんと勃起していた。すん、と鼻を鳴らして陽は涙ぐむ。
「ふぇ・・・ど、して?ぉちんち、へん・・・ぉに、ちゃ、こわぃ・・・」
可愛くて、思わず抱きしめた。うぶな陽。精通もまだ。
「ひぅ、ぁっ、ゃぁぁ、ゃらぁぁぁンっ」
乳首を舐って、吸う。可愛い声。そして陽の性器が震えながら揺れている。気を良くして、右の乳首には親指でマッサージを施す。陽の乳首はびんびんに勃起して、弄る前よりも少し膨れていた。声も身体の反応もいやらしくて、俺は陽の乳首をこれでもかと可愛がる。
「きゃふぅ・・・ひ、ひぅ・・・ひゃ、ぁ、ぁ・・・」
気持ちよさそうに胸を反らし、あんあんと可愛く喘ぐ陽。
「ぉに、ちゃ・・・っ、みなみ、へん・・・っ」
陽の涙目が、熱っぽく俺を見つめていた。
「もっと、してほしぃの・・・」
脳の中でアドレナリンが吹き出したような気がした。軽く目眩すら覚える。俺の親指は激しく陽の乳首を捏ね繰り回した。
「ひぁっ、ひ、ゃぁぁぁあんっ!ぁん、あ、ぁ、くふぅン・・・っ」
ラグに背中を擦りつけて悶える。
一度も触れていない性器は我慢しきれなかったとでも言うように、どろっと静かに大量の白濁を吐いた。ひくひくと震えて、陽はすっと眠りに落ちる。
一通り片付けて、服を着せた陽を二人がけのソファーに横たえた。
変色してしまったバナナジュースを飲み干す。ぬるくねばつく液体は、ゆっくりと俺の喉を降りていった。