バスタブ
トリップ
1
「ゆーが、お前、このチョーシでいきゃあ一流企業に就職なんじゃねぇの?」
「さあ」
友人の米田の言葉を、俺、柏木悠雅(かしわぎゆうが)は曖昧に流した。金のない学生である俺にとって大学は憂鬱なものでしかない。それなりの努力をしているのだから、少しでも報われてもらわねば困る。
「そういや、今度合コンあるって話だ。行く?」
「パス」
首を振る。刺激が欲しいといえど、女は面倒でしかない。維持するための犠牲が高い。
「柏木君の、白くてしたたかな感じ、超イイ!涼しげだけどしなやかな獣みたいなイケメン!って女子が言ってるの聞いたぜ・・・?」
「だから何?」
ちぇーっと唇を尖らせた米田に苦笑する。
「じゃ、オンナノコは皆俺のモンだな。にしても、その笑い方とかなんかすげぇかっこいいし。羨ましいぜチクショウ」
じっと俺を見る米田だが、こいつの顔も相当整っていると思う。
「じゃ」
角で別れた。
マンションに帰って、バイトへ行く前にゆっくり新聞を読む。
「っ」
激しい目眩に襲われた俺は、目元を手で覆った。身に覚えはない。昔はよく暴れたものだが、煙草と麻薬には手を出さなかった。あんなまずそうな物で、一番楽しい殴り合いに息を切らすなど最悪だからな。もう足は洗ったし、殴ったのは同類の奴らだけだが、それでも罰が当たったのか。
「くっ」
あまりの頭痛に、俺は意識を飛ばした。
2
「・・・ここは・・・?」
目が覚めると森の中にいた。ジャングルとも言えるようなみずみずしい森だ。俺は夢を見ているのか?
「~~~~~~」
「~~~~~~」
複数の人間の声がする。声のする方へ向かった。
「王の息子を生贄に!!」
複数のアラビア人風の男達が洞穴の前で少年を囲んでいる。男達は少年の手足を紐で括り、洞穴の前に置いて、去り際にこう言った。
「国の繁栄には神の導きし生贄が必要なんだ。悪いな」
そんなもの要るわけがない。俺は冷めた心で少年に近づいた。ふつふつと怒りすら込み上げる。涙目で俺を見つめた少年。口まで布を噛ませられている。
「大丈夫」
洞穴から何やら不穏な気配が近づいた。俺が口を自由にしてやると、少年は言った。
「ぁ・・・くるの、はぁ・・・神様が、ガディアさまが・・・」
かたかたと震える。のしりのしりと洞穴から姿を現したのは、大きな虎だった。そう、どうせ夢だ。
「何が神だ、あぁん?」
ぎろりとねめつけた俺に虎がびくっと身体を揺らした。
『貴様、何者だ?』
虎も俺の夢の中で喋るのか。驚いたように目を見開く虎に言った。
「知るか。虎なら出された人間なんかはいはい食ってんじゃねぇよ。狩りをしろ、狩りを」
『ふん、貴様らが勝手に置いていくんだろう。まぁ、あんたは違うみたいだがな』
虎が踵を返した。やり合う気は始めからなかったらしいと納得して、少年を見る。
「お前、王様の息子なんだってな。帰り方はわかるか?」
取りあえずこの物騒な森から出たい。夢なら早く醒めやがれ。
「ぁ、はぃ・・・。ぁのっ、あなたは神様ですか?」
色白で銀色の髪に緑の瞳の美しい少年。よっぽどお前のが神様みたいだが。
「俺は神なんかじゃない。ただの人間だ」
3
その後なぜか俺は王宮に連れられて来ていた。
「エルドラド、あの方か?」
一番高い位置の椅子に座った王様だろう白髭のお爺さんがあの少年に言う。少年は頷く。城下の町で少年から半ば逃げるように別れたのに、屈強な王宮軍人らしき男どもにきらびやかな王宮に強制連行された。
「そちの方、我が息子エルドラドを助けてくれたこと誠に感謝する」
黙ったままの俺に王様が続けた。
「そなた、名は何と申す」
「悠雅、です」
名乗った途端、宮殿の中の人々がざわついた。
「なんと!白い肌に、どこかの王族かと思っていたが、まさか!!黒い髪と瞳、見たことのない装束、エルドラドは虎と話すそなたを見たという!!そして、名は神と同じユーガー!!!」
「はぁ?」
装束って、黒い綿のズボンとVネックのセーターがか?というか、ユーガーじゃねぇ。なぜ伸ばした。・・・神?やたら冷静に呆けていると、興奮気味の王様の叫ぶままに気がついたら広い豪勢な部屋にいた。
「どんな夢だよ・・・」
俺の深層心理は神になりたいと切望しているのか?・・・まさか。
「失礼します」
入って来たのは静かそうな女。
「私はエルドラド王子の侍女です。王子がユーガー様に是非お会いしたいと」
少年がひょっこりと顔を覗かせた。
4
「ゆうがの国のことを教えて」
にこにことエルドラドが言う。俺はもう3日もこのシュルという国にいる。この世界には日本なんて国はないらしい。エルドラドにも誰にもあまり余計なことは言わないようにしている。
「秘密だ」
「神の国だから?」
もう面倒なので頷いた。名前も、ユーガーではなくゆうがだと訂正したが、この国の人間はやはり俺を神もしくはその部下くらいに思っているらしい。
エルドラドが俺に懐いたのをいいことに、王様が王宮で暮らしてくれと言った。他に行くあてのない俺は有り難く住まわせてもらっている。
中庭で昼寝をしているとエルドラドが来た。
「ゆうが、散歩行こう?」
勉強が終わった時間らしい。遊んで暮らしている俺は実質この王子のお守りだ。
「そのサイ、腹が減ってるってよ。エル?」
「ゆうが、ゆうがが動物と話せるから、森に行けるようになった。・・・僕ね、凄く嬉しい」
可愛い笑顔。まだここにいてもいいかもしれないと思う。その矢先だった。王宮での夕食に舌鼓を打っていた俺は、覚えのある目眩に呻いた。
「ゆうが・・・?」
心配そうなエルドラドの声。
「・・・ぐ、は・・・帰る時間みたいだ」
「神様が帰れと申されるのか?」
王様の質問に苦笑した。
「・・・は、まあ、そんなもんかな・・・」
「ゆうがぁ・・・やだ・・・」
涙を流すエルドラドを見た。
5
気がついたら新聞を持ったまま眠っていた。時間は経っていない。
「夢か・・・」
頭がくらくらしたがバイトの準備を始めた。
あれから何もなく3日過ぎようとしていた夜中だった。
「くそっ・・・またか・・・」
頭が割れそうに痛い。意識が遠退いた。
「ぁ、あん、ゆうがぁっ」
エルドラドの声だ。酷く懐かしい。声のする天蓋つきのベッドのドレープを開いた。変わらない緑の瞳と目が合う。
「・・・ゅ、が・・・?」
「エル・・・」
エルドラドは服を乱したあられもない姿。
「ゆぅがぁっ」
会いたかったと抱き着いたエルドラドを抱きしめる。
「すまない、邪魔をした・・・」
自慰しているところなど見られて嬉しい筈がない。耳が真っ赤なエルドラドから離れようとすると、ぎゅっと抱きしめられた。
「ぼくね、ゆうがに、されるの考えて、してたの・・・」
潤んだ緑が俺を見つめた。
「かみさまに、きたないところさわってもらうなんて、できないから・・・ぁの、ゆぅが、みてぇ・・・」
仰向けに寝そべり、乳首と性器をいじり始めた。なまめかしい仕種に喉がなる。
「ぁ、ん・・・ゆ、がぁ・・・あぁ、ひぁあぁああ」
くちゅんくちゅと小さな手に扱かれる性器が水音をたてた。
6
「ぁ、ゆ、が・・・みてぇ、いくの、みてぇ」
爪先がシーツを滑り、痙攣した。
「あぁあんっ」
びゅくっと白い液体を飛ばす。気がついたら、柔らかな身体を舐めしゃぶっていた。
「ゆぅが、かみさまが・・・だめぇ・・・きたないの・・・ぁあん」
甘い果実の匂いの肌。ボティソープの香りだなと鼻を寄せる。
「ん・・・ぁっ」
エルドラドの足が俺の股間に触れた。
「ゆ、が・・・熱くしてくれた・・・」
股間ににじり寄って素早く俺を取り出したエルドラドの手を驚いて払った。
「ぁ、ぼく・・・汚い手で・・・ごめんなさっ」
ぽろぽろと泣き出したエルドラドに囁く。
「エル、エルの手は汚くない・・・汚いのは俺だ」
エルドラドは俺に縋りつく。
「はぅ・・・ゆぅが・・・こすりあいっこ、して、い?」
犯罪めいた光景に、それこそ目眩がした。
「あ、ぁ、ゆぅが、ゆぅがぁ・・・っ!」
何度も精液を吐き出したエルドラドを擦り上げる。
「あちゅぃ・・・はぅ、ゆぅがのおちんぽ、ひぁあっ・・・」
はーはーと息をするエルドラドの頬に唇を落とした。
「ぼく、ゆうががわすれられなくって、ゆぅがを思うとおちんぽが変になって・・・侍女に、いろいろ、聞いたの・・・」
エルドラドは自分の腹についた液体を集め始めた。
7
自分の精液と指でアナルを解す。
「侍女が、ゆうがの前でこうしたら、こうび、してくれるって・・・れんしゅぅ、したの」
くぱくぱと収縮するアナルをエルドラドの細い指が開いて見せた。
「こうびって、だいすきな人とするんでしょ?・・・ゆうが、おねが、おちんぽ、いれてくだしゃい・・・ぼくをすきになって・・・」
我慢なんてできるわけがない。
「あぁああっ」
差し込んで、掻き回す。
「あ、あ、あん、ぁ、ゆぅがぁぁあっ」
「エル、エル」
ああ、可愛いエル。どうしてやろう。こんなに俺をメロメロにして。
「ゆぅが、ゆうが、ぁあんっひぅうっ」
背中に爪をたてて、エルドラドは射精した。
「はぁ、ゆうが、どこにも、いかなぃで・・・そばにいて・・・っ」
きゅうんとアナルを締めて、エルドラドは抱きしめてくる。約束などできない俺は、流れる涙を舐めてやることしかできない。
「あぁあんっあぁあぁっゆぅが、あひぃんっ」
「・・・っ」
射精の瞬間、抜き出して、エルドラドの腹にかけた。
「はぁん・・・いっぱい・・・」
幸せそうな表情。
「ゆうが、いつ帰るかわからないなら、もっと、して・・・」