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加虐性愛

1.邪魔だ、消えろ

汗まみれになってステージから降りる。楽屋で待機していたマネージャーの労いの言葉を受け取って、シャワーを浴びた。俺、嵯峨帝(さがみかど)はロックバンドのギターボーカルを担当している。

「帝、携帯鳴ってたぞ」
シャワー室から出た俺に、ドラムの真野が言う。
「どうせあの可愛い弟君だろう?」
画面を見ると、真野の言った通り弟の伊織(いおり)からの不在着信だった。無視して雑誌を読む。
「いつも電話してくるけど、仲いいのか?」
「・・・さぁな」
真野の問いに曖昧に答える。向こうが勝手に慕っているだけだ。まだ幼い伊織には俺しかいないので、自然なことなのだろうが。
「・・・目障りだ」
呟くと、真野は目を見開いた。携帯が鳴る。女からだった。通話ボタンを押す。
『帝?今日会える?』
俺は真面目な付き合いをしている女がいない。面倒だから。セフレのような女達が毎晩代わる代わる電話してくる。会える?はセックスしたい、だ。

電話を切ると、真野が信じられないものを見る目で俺を見ていた。
「・・・弟君は?」
「放っといても死なねぇよ。よっぽど俺より豊かな食生活してるだろうしな・・・」
生活費は腐る程与えている。昔教えてやったから、ポピュラーな日本食も作れる筈だ。
「最低な保護者だな」
真野の侮蔑の眼差し。俺は酷く冷めた気持ちになって、思う。お前にくれてやろうか。女達よりも俺に依存している伊織は、正直邪魔でしかない。慕われていることも、煩わしいだけだ。


2.・・・めんどくせぇ

ベッドの上で女が痙攣する。膣も同様に痙攣するが、俺はまだイけない。刺激が足りない。俺の携帯が鳴った。女が携帯のサブディスプレイを見る。
「ぁ、あ、あん、伊織って、はぁん、だぁれ?帝の女?」
弟と言えば、いたのと言って勝手に通話ボタンを押した。呆れたが無視してピストン運動を続けた。喘ぎながら喋る女。しばらくすると俺に携帯を押しつけた。
「ぁん、泣いちゃった・・・」
携帯を受け取る。
「代わった。何?」
『ひくっ、ぐすっ、おにぃちゃ?帰って来てぇ・・・さびし、よ・・・えっち、ぃおりにして・・・』
「そんなことで電話するんじゃねぇよ」
冷たい俺の声に、伊織は電話の向こうでしゃくり上げている。


昔、家に女を連れ込んでセックスしたことがあった。伊織なんか気にせず、堂々とリビングで。事を終えて、女を帰らせた後、自室でオナニーをしている伊織を見つけた。部屋を覗いた俺に気づかない伊織は、小さな口でお兄ちゃんと懸命に俺を呼んでいた。アナルをいじっているのを見たところで、俺に記憶はなく、目が覚めると伊織のベッドで裸の伊織を抱きしめていた。
それ以来、何度か俺を求めた伊織を抱いた。伊織はセックスで俺を繋ぎ止められると思っているふしがあるが、あいにく俺は穴に困っていない。肉棒の調達に困っているのこそ、伊織だろう。学校の保護者面談で知ったが、内向的な伊織はこれといった友達もいないらしい。いじめられてもいないが。


3.捨てられたいのか?

真夜中に無言で家に帰る。さすがに伊織も寝ているだろう。シャワーを浴びて自室に入る。ベッドに仰向けになると、すぐに睡魔が俺を襲った。


「ん、ちゅ、ちゅくちゅく・・・はむ、ん・・・」
腰の辺りにぞくぞくと粘膜の感覚。変な音。伊織がフェラチオしていた。
「伊織・・・勝手に何してんだ?」
伊織は肩をびくっとさせた後、俺を見た。
「・・・ふぇらちお、です・・・」
「誰が許可したんだ?」
伊織は首を振る。
「俺の部屋から出ていけ」
さっき散々した後だ。気分じゃなかった。
「や、やぁっ・・・おにぃちゃん、次いつ帰ってくるの?」
「教えなきゃならねぇの?」
呆れながら返す。
「勝手にするも・・・」
最初から慣らしてあったらしいアナルに俺をくわえ込んだ。いつもの伊織は俺に逆らったりしない。
「おにぃちゃんの、おちんぽ・・・っ」
嬉しそうに顔を歪めて、伊織は少し腰を揺らすと射精した。
「そんなに溜まってたのかよ・・・」
再び首を振った伊織。オナニーはしてたと言う。
「あぁ、ちんちん欲しかったのか?淫乱伊織」
「はぁあ、ん、ほし、おちんぽはめはめすゅの・・・」
「そこらのオッサン捕まえてセックスしてもらえよ」
「や、らめぇ・・・おにいちゃんの、おちんぽしか、いやだも・・・」
本気で俺に陶酔している顔。萎える俺はおかしいのだろう。真野の瞳が頭を過ぎった。いらいらする。
「そんな言い訳が許されるとでも思っているのか?・・・お仕置きだな」
伊織の小さな無毛のペニスに、コックリングを取りつける。


4.まだ躾が足りねぇの?

仰向けにさせた伊織のアナルを激しく打ちつける。
「ぁ、あ、おちんぽ、ぃたぃょぅ・・・あん、あん、やらぁぁあぁんっ」
びくびくと痙攣した伊織。どうやら射精せずにイったらしい。
「あぁん、おにぃちゃ、いゃぁあっ、やめてぇっ、ん、いおり、しんじゃぅ、ぁぁあんっ」
休みなど与えない。コックリングで射精できず、苦しすぎる快感に伊織は半狂乱で痙攣しまくる。こうでもしないと、こいつはいつまでも甘ったるいでれでれの可愛い顔をしている。
「ぁあ、ひぃんっんく、あ、あ、はにゃあぁぁぁぁあんっひゃ、ぁあっ」
また痙攣。痙攣。痙攣。痙攣。イきまくる伊織のペニスがついに変色しだす。
「もぅ、らめぇっ、おちんぽ、はずしてぇっ、はじゅして、おにぃ、ちゃ、いお、おちんぽっ、らめ、らよぅ」
いい顔。本格的に泣き始めた伊織。しかたないなと外してやる。
「ひにゃあぁぁぁあぁあああん・・・あ、あにゅ、ふにゃぁあっはにゅ、はぁ、おちんぽ、とまんなぃ・・・ん、ん、まだでりゅぅ・・・あんン、くふっ」
自分の顔にかけて、恍惚としている。
「・・・誰がイっていいなんて言った?」
冷めた目で見た俺に、伊織は一気に青ざめた。そう、それでいい。俺をぞくぞくさせるのはその顔だ。


5.俺に何て言って欲しいんだよ

朝起きると伊織は飯を作っていた。小さくて柔らかい尻の感触が掌に残っている気がする。
「お兄ちゃん、おはよう・・・」
はにかむ伊織。我が弟ながら整った顔だと思うが、俺とは確実に違う雰囲気のものだ。可愛い風貌。年齢的な性の境界線の曖昧さからか、男らしさを感じさせない。普通の男なら優しい抱擁を与えるのだろうか。そう、真野のような男は。

久しぶりに手作り料理を食べた。うまい。こっちを伺っていた伊織を呼んだ。膝にのるように言う。
「お兄ちゃん・・・」
近づくと、伊織は擦り寄って甘えてくる。うまい飯に気分のよい俺は好きにさせた。
「おにぃ・・・ちゃ、ン・・・はぅ」
俺が抵抗しないのをいいことに、股間を押しつけ始めた伊織に閉口した。気がついたら口が出ていた。
「伊織は何がしたいんだ?」
伊織はきょとんと俺を見た。
「な、に・・・って?」
俺もろくな兄ではないが、伊織もたいがいろくな弟じゃない。
「俺はお前を愛せない。兄として、幸せになってほしい」
快楽を教えたのは俺だが、それが全てじゃないことは、こいつも知っているだろう。
「僕が、お兄ちゃんじゃないとやなの・・・」
一体どれだけの人間を知ったつもりで言っているのか。俺は苦笑した。
「それで?」


6.誰が喋っていいなんて言った

「えっちして・・・」
伊織は言った。食卓で交わる。俺は伊織を愛せない。なぜか。別に伊織でなくても満足できるから。一途に思えないのに、その気持ちを愛と呼ぶのか。そんなおかしな話はない。
「おにぃちゃん、すきぃ、しゅき・・・」
とろとろ。どこもかしこもとろけそうな伊織。そして、甘い。俺は好きじゃない。
「えっちして、れば、んぅ、おにぃちゃん、ぼくをみるから・・・」
そりゃな。見なきゃできない。
「おにぃちゃ、がだれでも、い、なら、ぁ、全部、ぼくにしてくれればい、のに・・・」
それで満足できれば、俺もさぞかし楽だろう。好き好きオーラ全開の可愛い伊織を一途に愛す。余計なものは何もない。だが、現実には誰でもいいわけではない。現に、伊織は俺を萎えさせる。
「すき、おにぃちゃ・・・」
腰を振る弟は、俺を嫌いにならない。何をされても。
「黙れ」
黙った伊織。今度はまるで全身から愛が匂い立っているような気がした。潤む瞳、切なげに震える睫毛。柔らかな肉、滑らかな皮膚。

どうして、俺はこれらの愛すべきものを、普通に愛せないのだろうか。

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