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危ない橋を渡る



「いつも済まないな」
艶やかな黒い髪と、一重の瞳、薄く笑む唇。ワイシャツの襟元に伸びた美しい手は、優美な動きでネクタイを締めます。キッチンに立つ僕を、後ろからぎゅっとしました。凄く格好いい、僕のお兄ちゃん、羽柴秀人(はしばひでひと)は26歳の弁護士です。
「おはよう、望」
テレビのドラマで見る新婚さんみたいなスキンシップも、お兄ちゃんは弟である僕、望(のぞむ)に恥ずかしげもなくやってのけます。様になっているし、なんだか声が凄く甘いから、僕は毎朝どきどきします。
「ん、お兄ちゃん、ご飯、あったかいうちに食べて・・・?」
下から背の高いお兄ちゃんを見て、くっつく身体を離してもらいます。考古学者のお父さんとお母さんは、外国を飛び回っていて、僕はお兄ちゃんと二人暮しです。
「今日は遅くなるから、望一人で夕飯食べてくれ」
「うん」
お兄ちゃんは、いつも忙しそうなので、中学二年の僕が料理を担当しています。
「しっかりした嫁みたいな弟がいて、俺は幸せ者だな」
静かに微笑んで、僕の隔世遺伝の金髪をさらさらと撫でます。お母さんのお母さんが、金髪のイギリス人だったそうです。

「行ってくる」
ご飯を食べて、一通りの準備を済ませたお兄ちゃんは、僕の作ったお弁当を鞄に詰めて出勤しました。




事務所でシンプルな黒い弁当箱を開いて、俺はいつものように嘆息した。隣の席の、いつもは外で昼食を食べている恰幅のいい田鍋先輩が俺の手元を覗き込んだ。
「うは~、羽柴の弁当うまそうだなぁ!」
冷凍食品が一つも入っていない望の手づくり弁当は、いつも美味しい。一手間かけられた色とりどりのおかずと丁寧に研がれたらしい輝く白米。
「確か羽柴、独身だよな・・・恋人かぁ。まぁ、それはもう可愛いのがいそうだがな・・・」
まじまじと俺を見た田鍋先輩に、俺は笑って言う。
「可愛いですよ」
「えっ、やっぱりいるの!?っていうか、羽柴君のそんな表情初めて見たんだけど」
背後を財布を持って過ぎようとしていた同期の山田が声を挙げた。
「・・・愛しくて、今すぐにでも嫁にしたい」
俺がそう言うと、何故か田鍋先輩と山田が顔を真っ赤にした。
「いやーんっ、おネツねぇ!応援するわよ~っ」
「あ、あたしっ、お昼食べてきますっ」
急に声色を変えてお姉言葉で言った田鍋先輩と、逃げるように事務所から出て行った山田。何事だと山田の後ろ姿を見ていた俺に田鍋先輩はお姉言葉で言った。
「山田ちゃんねぇ、あんたに気があったのよ。っていうか、あんたを好きな子はたくさんいるわね・・・。その子には誰であろうと勝てそうもないみたいだけど。・・・はぁ、あたしも言われてみたいわ、その台詞」




僕はお兄ちゃんが大好きです。

金髪で、周りの皆と違う僕は小学生の時、なんとなく仲間はずれにされていました。お父さんとお母さんは、学校にいじめとして申し立てると言いましたが、僕は仲間はずれがもっと酷くなるかもしれなくて嫌でした。でも、お兄ちゃんはそんな両親に、望を信じて待てと言ってくれました。お兄ちゃんは、ただ僕の傍にいてくれました。僕に、望のよさは俺がよく知っていると言ってくれました。
僕はお兄ちゃんの負担になりたくなくて、役に立ちたくて、しっかり者の弟になろうと頑張っています。

夕飯を独りで食べながら、寂しさを我慢します。宿題を終えてお風呂に入って、僕はベッドに潜りました。


なかなか寝つけなくて、真っ暗な部屋の中で天井の方を見ていました。静かに、僅かに空気が揺れた程度でしたが、誰かが入って来た気配がありました。お兄ちゃんしかいないけど、僕はとりあえず寝たふりをしました。気配はベッドに近づいて、すぐ傍に立ちました。
「望・・・」
お兄ちゃんの声。呟かれた名前に鼓動が脈打ちましたが、起こそうとする声ではなかったので、寝たふりを続けました。

不意に、柔らかいものが唇に触れて、僕は震えました。

お兄ちゃんは何事もなかったみたいに部屋を後にして、残された僕は触れたものが何だったのか気になって、ずっとどきどきしていました。




望は昔、いじめられていた。いや、いじめられていたと言うと語弊があるかもしれない。小学生ぐらいの子どもにとって他と異なることは壁の一つになり得るらしい。望は自前の金髪のせいで同級生に敬遠されていた。思うに、整った容姿と引っ込み思案な性格も人を寄せつけない因子だったに違いない。
望はその頃、俺の黒髪を羨んでいた。しかし、美しい短い金の髪は望によく似合っている。俺は本心から望を褒めていた。
時間をかけてゆっくりと望を安心させていくと、望の表情は目に見えて柔らかく愛らしくなった。角がなくなった望にはたくさんの友達ができた。俺が、面白く感じなかったのは言うまでもない。
両親が海外に長期滞在すると発表した日、望はまだ見習い弁護士だった俺の傍にいると言った。頼り過ぎてはいないだろうかと心配になる程、かいがいしく家事をしてくれる。

「望・・・」
暗闇でも輝く金色。起きる気配のない望の、柔らかそうな唇にそっと自分のそれを当てた。望と俺は結ばれない。諦めのよい自分は嫌いだが、同時に安心していた。優しく兄思いの望が俺の気持ちを知れば、応えることができないことに心を傷めてしまうのが予想できる。理性ある俺は、気持ちを伝えずに死ぬだろう。望を苦しめる事態には陥らない。


「おはよう、望」
土曜の朝。望は平日と同じように母さんの白いレースのついたエプロンでキッチンに立っていた。土曜も出勤する俺のために、望は平日と同じように支度をしてくれる。望を後ろから抱きすくめた。
「お兄ちゃん・・・恋人とか、いる?」
望の言葉に、俺は一瞬動けなくなった。




もしかしたら、キスだったのかもしれない。そう思うと、胸がきゅうっとなって、苦しくなります。僕はお兄ちゃんが僕を好きかもしれないと期待する心をたしなめました。クールで格好いいお兄ちゃん。いつかは女の人と結婚して、子どもを持つ。僕はいずれくるそれを、先のばしにしたいという気持ちがありました。奥さんがいなくても、お仕事が頑張れるように美味しい料理を研究して、掃除をして、洗濯もして、自分のこともします。役立ちたいのはもちろんです。でも、醜い僕はもう一つ目的をもっています。それは、お兄ちゃんに奥さんの必要性を考えさせないこと。

僕はずっとお兄ちゃんを独り占めしたいのです。


土曜日も、僕は手を抜きません。もう、ほとんど意地です。僕は将来現れるお兄ちゃんの奥さんと戦っているのです。勝ち目のない戦いだとは知っていました。いつの間にかお兄ちゃんには奥さん候補の大切な人ができていて、僕は邪魔になってしまうのです。今僕を抱きしめているお兄ちゃんが、別の誰かを抱きしめる。考えただけで胸が苦しくなります。僕は昨日の朝の脳天気さが嘘のように、不安でした。
「お兄ちゃん・・・恋人とか、いる?」
気がついたら聞いていました。お兄ちゃんは、黙ります。




好きな人ができたから、恋の悩みの相談。もしくは、もう毎日の家事に嫌気がさしての見合いの勧め。俺はじっとりと嫌な汗を背中に感じていた。いつか望は俺から離れていく。覚悟しているつもりだった。しかし俺は動揺している。
「いないが」
なるべく普段通りの返答を心掛ける。背後から抱きしめているために、望の表情は伺えない。判決を待つ罪人の気持ちはこうなのだろうか。望が身体を回して俺と向かい合った。
「ずっと、つくらないで・・・」
泣きそうな顔。俺を上目遣いで見詰める。
「おにいちゃん・・・僕じゃ、だめ?」
嵐の中の細い吊橋の上に、俺はいた。吊橋は、嵐に揺さぶられている。まさか望が自分から嵐になるとは予期していなかった。
「・・・駄目なわけがない」
俺の理性は消失し、俺は橋を後退できなかった。橋が切れる前に渡るため、前進する。


「ゃ、おにぃちゃ・・・」
器用に服を脱がせると、望はエプロンとパンツだけを纏った姿になった。パンツも脱がせて、現れた幼い性器を口に含んだ。
「ひぁっ、ぁ・・・おにぃちゃ・・・きたなぃの、だめ・・・」
ぷるぷると震える望。俺の頭をどかそうとする手にも力がない。くちゅくちゅと口の中で唾液を絡ませ舐めしゃぶる。
「ぁぁあんっ、ぁ、ひっ、あぁあぁぁあああっ、らめ、らめぇっくちゅくちゅ、しちゃ・・・ゃあぁっ」
可愛い声で鳴いて、望は精液を放った。




「おにぃちゃん・・・僕じゃ、だめ?」
とんでもないことを言ってしまいました。でも、僕がずっと言いたかったこと。
「・・・駄目なわけがない」
少し、掠れた声。お兄ちゃんの答えは、僕が想像していたものとは違っていました。僕は嬉しくて、でも不安でした。お兄ちゃんの未来の奥さんにできることが、僕にはどうやったってできません。えっちとか、こどもをつくること。


「ゃ、おにぃちゃ・・・」
お兄ちゃんが僕の服を落とす。僕はエプロンとパンツだけになりました。パンツも脱がせられて、おちんぽを食べられました。
「ひぁっ、ぁ・・・おにぃちゃ・・・きたなぃの、だめ・・・」
くちゅくちゅされて僕はおちんぽを固くしていました。
「ぁぁあんっ、ぁ、ひっ、あぁあぁぁあああっ、らめ、らめぇっくちゅくちゅ、しちゃ・・・ゃあぁっ」
おちんぽがぴゅくぴゅく、お兄ちゃんの口の中で射精しました。
「はぁ、は・・・ごめんなさ・・・ぼく・・・」
恥ずかしくて、顔が真っ赤になります。
「好きだ、望・・・愛してる」
ちゅっと一回唇を触れさせて、お兄ちゃんは耳元で言いました。熱い吐息の混じる低い声。僕はふにゃりと身体を床に預けていました。




「ぁ、あっ、ひ、ぁ、あぁあんっ」
乳首をいじりながら、望のアナルに性器を擦りつける。エプロンを胸元でたわませて、望はとろけたような甘い喘ぎを漏らし続ける。
「あっ、ひあぁあんっ、あ、ぅ、いく、いっちゃぅ・・・ひぁぁっ」
白いお腹を粘る精液で汚す。
「ん、ふ・・・あ、ぁんっ」
卑猥な痙攣に中で性器を膨張させると、望はぎゅっと胸のエプロンを悩ましげに掴んだ。
「ぁ・・・ぴくぴくしてゆ・・・ぼく、赤ちゃん、できなぃの・・・」
「できなくて構わない」
「おくさんの、かわりにはなれなぃの・・・」
望は首を振り、瞳を潤ませた。
「奥さん?・・・俺は、望が欲しい。・・・俺を愛してくれるか?」
涙を流して頷いた可愛い望。俺は中で精液をほとばしらせた。
「は・・・っ」
「ん、ぁ、ぁ・・・ひにゃ、ん・・・」
柔らかく白いふともものつけ根、愛らしい性器が再び首をもたげて震えていた。


橋を渡った先には望との甘い生活が待っていた。


「お兄ちゃん、今日は早く帰る?」
玄関で俺を見上げる望。
「ああ、8時には帰る」
最近は以前よりも、早く仕事を切り上げるために頑張っている。唇と首にキスをして、耳元で囁いた。
「お風呂入っていい子で待ってろ・・・」
望はうっすらと頬を染めて、こくりと頷いた。

「行ってくる」


SS:解して熟してから

玄関のドアを開けた俺はただいまの言葉を切って、絶句した。
「お兄ちゃん、お帰りなさい・・・ぁの、ご飯にする?お風呂にする?」
恥じらいながらも、俺を見つめる望。その姿はいつぶりかの、裸エプロン。柔らかそうな白い足となまめかしい肩が晒されている。
「それとも、僕?」


何の感慨もない定番の台詞も、望の口から聞くとなると話は別だ。一も二もなく望を抱き上げて、俺の部屋に連れていく。
「お兄ちゃ、ん・・・は、ちゅ」
ベッドに組み敷いた望の唇を奪って、ねっとりとキスをする。エプロンを捲り上げた。白いパンツの下の性器を、布の上から撫でる。
「ぁぁ、ん、お兄ちゃ、」
勃起したそれは酷くぬるついていた。びくびくと震える望。
「・・・一人でしてたのか?」
望はこくりと頷いて、おずおずとパンツに手を伸ばし、脱ぐ。俺の眼前に現れたのは、とろりとした透明なローションをたっぷりと纏った望の性器だった。うまそうなそれに喉が鳴る。
「いやらしいな・・・」
つぅと裏筋に人差し指を滑らせると、ぴくぴくと震えて桃色の先端から少し白い汁が漏れた。
「ぁん、らめぇ・・・おちんぽ、じゃなくて・・・」
もじもじと体をよじる。望は膝を上げた。ローションを垂らし、てらてらと光るアナルが見える。俺は腰がぐっと熱くなった気がした。
「ちゃんと、じゅんびしたの・・・だから、」
羞恥にうるっと潤む瞳。
「お兄ちゃん、いれて・・・」
俺は堪らず、性器を挿入した。
「ひぁぁ、ん」
「望・・・」
とろけた柔らかなアナルに包まれて、腰が痺れる。
「ぁ、はぁ、でちゃ・・・っ、ひ、はぁぁん・・・・・・っ」
ひくっひくっと震える望。ぱたぱたと精液が散る。ところてん。俺は望の首筋にキスをする。耳を舐めた。
「はぁぅ・・・おにぃちゃん、すき・・・」
すりすりと俺に頬擦りをして、ゆっくりと腰を振る望。愛しさが込み上げる。可愛い望に、俺は首ったけだ。

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