top of page



強く綺麗な人



「はなしてくださ・・・っ、はなして・・・っ」
「君、可愛いねぇ・・・おじさんと、今からどぉ?」
お酒臭い息がかかる。壁に押さえつけられた両腕に、金澤譲(かなさわゆずる)は身動きが取れず、ただ首を振った。今から何をするというのだろう。譲の瞳は不安に揺れる。男子のブレザーを着ているのに酔っ払った男が自分を女の子だと思っているようだと、譲は誤解を解くべく抵抗した。
「僕、男です・・・っ」
男はむむっと赤い顔をしかめる。
「こんな可愛い顔してるから・・・許すっ!」
にこにこと破顔した。何を言っても無駄な雰囲気に、譲は泣きそうになる。男は譲の首元に顔を埋めた。塾の帰りが遅くなるのはいつものことだが、こんなことは初めてで譲は恐怖にすくむ。特に人通りが少ない道と言うわけでもないのに、今日に限って人はまばらで、その少しの人達も皆見てみぬふりで通り過ぎて行く。ぬらりと生あたかい湿ったものが首に当たった。男の舌。
「ぃやあっ」
「ぉお、よしよし」
男が抵抗した譲をぎゅっと抱きしめる。服の中に侵入した手。乳首を摘んだ。
「ぁっだめぇ・・・っ」
ぎゅっと閉じた瞼。涙が流れた。
「な、何だね!?」
不自然な男の声に、譲は瞳を開けた。誰かが男の首根っこを掴んでいた。




男を掴んでいるのは、若い男だった。黒い髪はオールバックに整えられており、顔や身体は端正な造りをしている。ぎらりとした、艶やかですらあるつり目気味の瞳が、男を睨む。
「ひぃっ!」
「・・・警察に突き出してやろうか?」
低い声が静かに問うた。男はぶんぶんと首を振る。
「二度としないなら逃がしてやるが」
「はひっ、しませんっ!」
そうかと言って軽々と男を投げ飛ばす。ずざざと道に転がった男は、起き上がると一目散に逃げて行った。オールバックの男が譲を見る。
「ぁ・・・っ」
声をあげた譲。ふいと譲から視線を離して、男は立ち去ろうとした。
「ぁのっ」
すたすたと歩き去る無言の背中。譲は見送ることしかできなかった。

鋭い眼光と美しい容貌は、譲の瞼の裏に残った。


残像が、離れない。譲はため息をついた。隣の席の亀谷は繰り返して放たれる悩ましげな譲のため息に物申す。
「金澤・・・そのため息、やめれ」
「だって・・・」
自分を見た少し上気した桃色の肌と潤むくりくりの愛らしい瞳。困ったように寄せられた柳眉が悩ましい。亀谷はぎょっとしてがたっと椅子ごと後ずさる。
「ちょっ、おま・・・っなんつー顔しやがる・・・」
クエスチョンマークを飛ばした譲に、呆れた。
「どうしたんだよ。言ってみな」




話してすっきりしろと言った亀谷に、譲は昨夜の出来事を話した。
「ふーん。で、忘れらんねぇの」
頷いた譲は小動物のように見える。
「恋だな」
かぁあっと頬を染めた譲に亀谷は初々しいと口元を緩めた。
「男のひと、に・・・?」
「それっきゃねぇだろ。今、間違いなく、金澤の心はそいつに向いている」
譲は上目遣いで亀谷を見た。
「亀ちゃん、僕・・・気持ち悪くない?」
「全然。よっぽど、ヒモ男と貢ぎ女よりも美しい恋になり得るんじゃねぇの?価値観はそれぞれなんて言うけど、うちの兄貴のヒモ生活は壮絶だ」
亀谷が笑う。
「つか・・・雰囲気やくざみたいなビジネススーツの美男なら・・・俺、知ってるかもしんねぇ」
譲は瞳を見開いた。


「本当にいいの?」
「おう、任せろ」
譲はプリントに名前を書いた。プリントには「職場体験申請書」の文字。今度の総合学習で実施される職場体験は、中学生が地域社会のさまざまな事業所で職業の現場を体験できるというもので、譲達の学校では生徒自ら希望の職場に許可を取ってもいいことになっていた。
亀谷は譲と自分のプリントに「亀谷社」と書いた。亀谷社は大手出版社であり、亀谷の祖父が社長。亀谷の父も重役、次期社長として勤めている。
「多分、譲の言ってた男はうちの会社の社員だ。当たれば、最高の接近チャンスだろ?」
「ぅん。緊張するけど、頑張る。でも、亀ちゃん、おじいさんのことあんまり好きじゃないって・・・」
「まぁな。しかしながら、譲のためならじじいに頭下げられるってことは新しい発見だったぜ」
冗談めかして気丈に言っているが、亀谷の家には複雑な事情があることを譲は知っている。
「ありがとう」
申し訳なさげに言った譲に、亀谷は苦笑した。




譲と亀谷は社員の一人の後に着いて5階の雑誌編集のフロアに入った。これから5日間、二人が世話になる部署。自己紹介と挨拶を終えた譲は、自分達を取り囲むこのフロアの社員を見た。会いたい人はいない。残念に思うと同時にどこか安堵していた。
「締め切りの作家に付きっきりでまだ出社していない者もいるが、だいたいこの顔ぶれで雑誌を作っている」
社員達はよろしくと微笑んだ。
「ここで製作するのは、硬派な現代文学を扱う「轍」と最新の理系論文や情報を扱う「理学時代」の二つの雑誌なんだ。二つとも亀谷社の雑誌の中でも格別に歴史がある。雑誌の中でもトップクラスだ。自分達で言い切ってしまえるほど自信がある。誇りがあるんだ。君達はここで職場体験できるなんて運がいい。是非、たくさん学んで欲しい」
編集長だという男は饒舌だった。


フロアまで連れて来てくれた社員が二人を更衣室へ案内した。
「荷物はここ。このロッカーが君達の。隣の隣の部屋は一部の社員の仮眠室もどきになってるから大丈夫だと思うけど、騒いじゃダメだよ?」
はいと返事をすると社員は微笑んだ。
「あとは・・・ブレザーは動き難いだろうから脱ぐといいね。ネクタイはきっちり締めて・・・いるね。ウン、ばっちり。この名札をつけて完了だ。中坪亀浩君はどっち?」
びっくりする譲を横目に、亀谷がにこやかに名札を受け取った。
「じゃあ、君は金澤譲君だね。はい」
譲も名札を受け取る。


「亀ちゃん・・・?」
「馬鹿だな。察しろよ」
譲はだからって偽名なんてという言葉を飲み込んだ。
「折角来たんだ。遠慮されて堪るかよ」
亀谷が笑う。




譲と亀谷を5日間指導する社員は東山といった。担当の作家から今月分の原稿を既に受け取った後だという東山の仕事は入稿作業。
「レイアウトの指示に従って、原稿に文字の大きさや書体などを指定するんだ。そして、文字原稿と挿絵に番号をふって、位置を指定する。週刊誌は文字の大きさや書体、位置の選択が重要な鍵になるけど、うちは小説を扱うから、特集ページ以外は全部あらかた決まってるんだ。単純な作業だけど、重要な仕事だよ」
二人は東山の指示を仰ぎながら作業を開始した。


「おお!里中先生の原稿が上がったのか」
静かなフロアに編集長の声がよく通った。周りの社員がちらちらと気にしているのを感じて、譲も視線を上げた。編集長のデスクの前に長身の男が立っている。譲はどきんと鼓動を高鳴らせた。社員は後ろ姿だが、だからこそ譲には間違いなくあの夜の人物だとわかった。視線を落として、紙に書体名を書き込みながら会話に耳をそばだてる。
「里中先生は締め切り無視の常習犯だからな・・・。張り込みご苦労だった。仮眠してきていいぞ。どうせ一晩寝ずに先生のいつもの小さいスランプに付き合ったんだろ?」
「ありがとうございます」
礼を言って譲の目の前を通り更衣室の方へと歩いていく社員。譲は心臓をばくばくさせながら鉛筆を握り、紙を見つめた。




昼休みに社員食堂で昼食を取る。譲は亀谷に探していた人がいたと夢見心地で伝えた。
「編集長と話してた、途中でフロアに来た社員?俺、見てないわ」
「・・・あの背中だった」
嬉しそうに言う譲に亀谷は背中ぁ?とやや頓狂な声を上げる。
「顔、見てないのか?」
俯いた譲に亀谷は言い方を間違えたかと反省する。語気が強くなりすぎた。
「・・・ぅん。前を通って行ったんだけど、顔は上げられなくて」
「あー・・・まぁ、まだ時間はあるから、チャンスもあるだろ。アタックあるのみだな」
「チャンス・・・?」
不思議そうな譲に亀谷はそりゃあと続けた。
「仲良くなって、あわよくば恋人に、だろ?」
「そんなの!」
首を振る譲。譲は自分を卑下しすぎると亀谷はため息をついた。
「無理じゃない」
きっぱりと真剣な瞳で言い切った。少し目を見開いて、譲は小さな声で泣きそうにありがとうと言う。亀谷はそんな譲を可愛いと思う。


東山は編集長に話をしていた。
「二人共思ってたより飲み込みが早くて能率がいいので、このまま僕の仕事を手伝って貰ったら予定より時間が微妙に余るんです。伊吹の次の作業が入稿なので、一人をそっちに任せていいですかね」




「金澤君、例の更衣室の隣の隣の部屋に行って、仮眠取ってる人を起こしてくれる?」
入稿作業を手伝いますって言えばわかるからと東山は言う。
「あ、その人の名前、伊吹だからね」


ノックする。失礼しますと断って、譲は入室した。伊吹薫(いぶきかおる)はマッサージチェアのような背もたれのある椅子に座って眠っていた。静かで規則的な寝息。オールバックの髪、綺麗な顔、投げ出された長い足。緊張に、譲の指先は震えた。
「失礼します」
肩に触れると、ゆっくりと瞼が上がる。つり目気味の鋭い瞳があらわれた。譲はどきんと胸を鳴らす。伊吹が覚えていなかったらと考えて、助けてもらったことを言うのはやめた。
「入稿作業を手伝うように言われた金澤譲です。よろしくお願いします」
自然に言えたことに安心する。
「・・・ああ、職場体験の。伊吹薫だ。・・・よろしく」
まだ覚め切らない表情。立ち上がった伊吹は欠伸を噛み殺すと歩き出した。譲はそれに続く。


一日目を終えて家路につく。
「譲、よかったな」
「うん」
幸せそうに、にこにこする譲。
「・・・おま、ちゃんと仕事しろよ?」
見つめてばっかいるんじゃねぇのかと呆れる亀谷に譲も反論した。
「ちゃんとするもん。だって・・・嫌われたくない」
「・・・はぁ・・・どうして『好かれたい』って言えないかな」
譲は頬を染めて亀谷を見た。
「意地悪言ってるの?」
亀谷は泣きそうな顔の譲に絶句する。




譲は伊吹の隣で仕事をしながら、伊吹をうっとりと見つめる女性社員達の多さに気づく。伊吹は静かに書類の添削をしている。
「金澤、コピー頼む」
譲は返事をして書類を受け取った。

「薫君、お昼ご一緒してもいいかしら」
「・・・社員食堂で食べますが、それでいいなら」
「ええ」
伊吹と女性の声に譲はコピーしたものを持って、様子を伺う。緩く巻いた髪が似合う、綺麗な女性社員だった。


「話によれば、伊吹さんはほとんど毎日女性社員に誘われる。何でも、女性社員には伊吹さんを誘う順番が暗黙の了解で存在するらしい。そして、今日は優子さんの日」
亀谷が言う。譲は少しだけ離れたテーブルで食事を取る伊吹を見る。伊吹の正面には姉崎優子(あねざきゆうこ)が座っていて、黙々と優雅にただ食事を取る伊吹を見つめている。
「伊吹さんは、別にいつものスタンスを崩さない。いつも通り無口。まるで不毛な態度だが、女性社員はそんな伊吹さんを見ることで満足するという・・・。恐るべき美形パワー・・・!」
語り切った亀谷は余韻に目を細めて遠くを見た。そうかと思えば、すっと譲に戻る視線。
「何もしないまま後の3日間を無駄にするのか?」
「無駄って言うけど・・・」
「いいのか?このままで。想像してみろ。伊吹さんにぎゅっと抱きしめられる・・・。ぎゅっとされたくないか?」
譲はぽやぽやした瞳で、ぎゅってされたいと呟いた。そのまま言えば恋人にしてもらえそうだなと亀谷は勝手に思う。




譲はぽやぽやしながら仕事に戻った。想像しただけで満ち足りた気分になるのだから、本当に抱きしめられたらどうなるのだろうか。伊吹の綺麗な横顔から目が離せない。どきどきして、自然に瞳も潤んだ。
「どうした?手が止まっている」
伊吹が譲を見た。
「!ぁっぁ、ごめんなさい・・・っ」
譲は我に反って鉛筆を握り直す。ぼきりと音がして、鉛筆の芯が紙上に転がった。伊吹のシャープペンシルが譲の前に差し出される。譲は伊吹を見た。
「使えよ。鉛筆削りが見当たらない」
ふっと微笑む。譲の胸はきゅんと高鳴った。声がでないままに受け取る。
「しっかりな」
何度も頷く譲に笑みを深めた。


「ぎゅってしてください作戦は明日決行することになった。東山さんが言うには、明日伊吹さんは俺達が書体を指定した書類の確認に残業するらしい。そして大事なのはこれ、他に残業する社員はいない・・・!チャンスだ・・・!!」
亀谷が考えた『ぎゅってしてください作戦』は残業で一人フロアに残っている伊吹に、譲がぎゅってしてくださいと言うというシンプルなもの。
「無理、無理ぃ・・・そんなの、できな・・・っ」
真っ赤になって首を振る譲に亀谷は言う。
「失敗したら、最終日は風邪を引いたことにして休めばいい」
譲はやだぁ・・・と瞳を潤ませた。
「そんなに簡単に、誰の前でも泣きそうな顔すんなよ・・・」
亀谷は苦笑して、譲のくるくるの天然パーマに触れる。


10

今日で見納めなのかもしれないと考えて、譲の瞳は一段と熱っぽく伊吹を追った。仕事をこなしながらも、きゅうきゅうと締めつけられる小さな胸。


「譲、頑張れよ」
「・・・ん」
亀谷が鼓舞する。
「失敗したら譲の言うこと何でも聞くぜ」
にやりと笑う。どうしてそんなに自信満々なのかと疑問に思った譲は聞いてみる。勝てない勝負はしない主義だからなと、答えにならない言葉を残して亀谷は去ってしまった。譲は更衣室の大きなロッカーの中に一時間程隠れて、このフロアの他の社員が帰るのを待った。

「亀ちゃんを信じる・・・」
自分に言い聞かせ、がこっとロッカーを内側から開けて外に出る。フロアには、亀谷の言った通り伊吹だけが残っていた。


「いぶきさん」
緊張に声が上擦った。集中していた伊吹は、声をかけられて初めて譲が傍にいることに気づく。
「ああ、金澤・・・忘れ物か」
ゆっくりと立ち上がって、フロアを見渡す。
「ぁ、ぁっ、ちが、ちがいます」
譲はおろおろとする。伊吹を見上げると、頬が染まった。恥ずかしさに泣きそうになる。
「ぁの、ぼくを、ぼくを・・・ぎゅって、してください」
譲は伊吹を見つめた。


11

伊吹に抱きしめられている。譲は嬉し過ぎて、頭が真っ白になった。伊吹の匂い、胸下に顔を埋める。甘えるようなその仕種に、伊吹は苦笑した。
「ぎゅってされるだけでいいのか?」
思わぬ言葉に顔を上げた。抱きしめられたまま持ち上げられて、デスクに降ろされる。座るような体勢。
「・・・・あんなに熱っぽく見つめてたくせに、抱きしめられるだけで満足なのか?」
抱きしめられる以上のことが何であるのかわからずに、譲は伊吹をぽわぽわと見つめた。唇に降ったキス。音も何もなく触れるだけのそれに、譲は頬を染めて切ない表情をした。
「何?その顔」
くすくすと楽しそうに笑む。柔らかい雰囲気の伊吹に、譲の胸の思慕の情は膨れ上がって今にもはち切れそう。
「くちびる、もっといっぱいくださぃ・・・」
ふわふわする。この時間であれば伊吹が何でもしてくれるような錯覚に、譲は大胆になっていた。
「すき、すきです・・・あなたが、ぼくをたすけてくれたときから、ずっと・・・」
きゅっと離さないとばかりに抱き着いた譲。伊吹は譲の頭を右手で支えて、キスをした。ぬらりと舌が譲に侵入して、水音を立てる。そのまま股間に触れる伊吹の手に、譲は震えた。チャックを下ろされ、パンツの上から性器に触れられる。剥けてもいない性器は伊吹の手の中で跳ねた。伊吹のキスを受けながら股間をいじられる譲はひくひくとただ震えている。


12

キスから開放されて、譲は我に反る。
「ぁ、ぁっ、ど、して、おちんち・・・ふぇ・・・ぁあっ」
ズボンもパンツも脱がせられたと思えば、性器が生暖かい感覚に包まれる。伊吹の口内に迎えられていた。
「やだ、やぁ・・・いぶきさ・・・っきたな、の・・・ひぃぁぁぁあんっ、あんっ、ふぁ・・・」
皮が下ろされて、譲はびゅるっびゅくっと射精した。中学生にもなって漏らしてしまったと、みるみる蒼白になる譲に、伊吹はキスをする。伊吹の口の中は少し青臭く、譲は尿でないものを放ったのだと知った。顔をしかめた譲に伊吹は一人ごちた。
「誰だ、最近の子どもは進んでるなんて言ったのは・・・。金澤、尿ではなく精液だ」
「せーえき・・・」
股間を見ると、皮が剥けて鮮やかな桃色の亀頭が出ていた。伊吹の指先が剥けたばかりの敏感なそこに触れる。
「ひぁあっ」
ぎゅっと目を閉じて、悶える。つぷつぷと溢れる先走りを指に絡めて、伊吹は譲の菊門を撫でた。
「俺を追いかけてこの会社に来たのか?」
「はぃ・・・」
譲はこくこくと頷く。
「ぼくを、いぶきさんのこいびとに、してください・・・」
懇願する譲。伊吹は口角を上げた。
「・・・可愛い。俺に全部をさらけ出す覚悟はあるか?」
一も二もなく頷く譲の頬に、伊吹は口づけた。


13

「ぁぁっ、ふ・・・ぁん、んーっ、ぁぁあっ、ぁ、ひんっ」
柔らかく解されたアナルは伊吹を熱く包んで揉む。快楽に初な譲は何度も性器を痙攣させて精液を出した。そんな性器に連動するように、アナルは激しく収縮する。
「ぁ、ぁ、いぶきさん、きもちくな・・・ぃ?」
ずっと硬度を保ったまま、時々びくりとするものの、一向に射精しない伊吹の性器に、譲は涙目になる。先端から白く粘り気のある淫液を垂れ流すのはいつも譲の性器。譲に、伊吹は気持ち良いと言う。
「なぜ?」
「だって、いぶきさん、まだ・・・ぼく、どぅしたら、い、の・・・?」
射精してすぐの譲の前立腺をつくと、譲は気持ちよさそうに鳴いて伊吹にしがみつく。伊吹はそれを見たいがために射精のタイミングをわざとやり過ごしているだけだ。伊吹は譲に囁く。
「金澤は俺にどうして欲しいんだ?」
譲は伊吹を見つめて言う。
「ぼくで、きもちくなって、せいえき、だしてくださぃ・・・ふぁぁ・・・」
中にどくどくと注がれる。譲は伊吹にキスをされた。


「実にわかりやすい。中坪君もそう思うよね」
東山が亀谷に言う。亀谷は頷いた。二人の視線の先は、伊吹のデスク。譲が伊吹を見つめているのはいつものことだが、譲に対する伊吹の態度は格段に優しくなっているように見えた。可愛らしく、何かを伊吹に言う譲。伊吹は譲の頬を撫でた。譲は気持ちよさそうに撫でられている。
「・・・間違いない」
一人うんうんと頷く東山。譲から作戦の結果を聞いている亀谷は幸せそうな譲を優しく見ていた。
「・・・にしても、伊吹さんの手の早さは予想外だったぜ」

© 2008 Haruno All Rights Reserved.

bottom of page