バスタブ
惚れてはいけない
1
小さな子ども達が行儀よく席について、俺を見ている。俺は家で作ったマグネットが裏側についたピザのイラストを黒板に張り付けた。
「6分の4はこのピザ一枚を6等分したうちの4枚のことになる。さて、ここで誰かにこのピザで3分の2を作ってもらおうと思う。・・・町田」
俺は瞳をきらきらさせていた町田を指名した。町田は大きめのピザを2枚選び、黒板の白い丸の上に張り付ける。
「正解だ」
とびきりの笑顔で誉めて、町田を席に帰す。
「この6分の4枚のピザと3分の2枚のピザを見て、気づいたことがある人はいるかな?」
すっと白い手が伸びた。艶やかで清潔な印象を与える黒い髪、白い肌。大きな瞳の愛らしい少年、柳瀬棗(やなせなつめ)。
「柳瀬」
指名すると、柳瀬は起立して、桜色の小さな唇を開いた。
「枚数は違っても、6分の4は3分の2と、量が同じです」
真剣な瞳に、どきりとする。参ったな、と心の中で苦笑した。
「柳瀬、正解。完璧だ。量が同じ、つまり式にするとこうなる」
俺は白いチョークで6分の4と3分の2の間にイコールを書き、等式にする。
「じゃあ、教科書の45ページを開いて。今日は約分について勉強しよう」
俺、石井純義(いしいすみよし)25歳は、小学校の教師をしている。因みに、担任するクラスは5年2組。
2
石井先生は、かっこよくて優しくて、色んな人の心を掴みます。きっと、先生のことが好きな人はたくさんいます。
「先生!今日は体育館使えるから、バスケの日!」
「今日はバスケットボールか」
お昼はクラスの男子の遊びに付き合ってくれる先生。先生は理系の大学を出ていて、一見すらりと細身だけど腹筋だって割れていて、運動が得意です。
「じゃ、恒例の先生じゃんけんな。先生は俺のチームにもらうぜ」
だから、先生は取り合いになります。
「石井ちゃん女子の視線集めまくり。俺らだけでバスケしてもこうはならねぇよな」
縄跳びやフラフープで遊ぶ女子生徒も、手を止めてこちらを見ています。
「うちのクラスは、顔が良いの揃ってるからそっち目当てっつーのあるかもだけど、石井ちゃん連れてきた時だけ、美人の綾子先生と雪子先生も来るからなー」
石井ちゃんまじモテモテ、とにやにやする沢田君。普段は体育館に来ない女の先生が1年生くらいの女子生徒達と話をしています。美人の女先生。僕はそっちを見ないようにします。
算数の時間、僕が答えた後、石井先生は困った顔をしました。でも先生だから、それはほんの一瞬。直ぐに町田君にあげたのと同じ笑顔を僕にくれました。
「柳瀬、正解。完璧だ」
先生の困った顔の理由を知っている僕は、切なくなりました。
僕は先生と、ある約束をしています。
3
「先生、おいしい?」
柳瀬が俺を見つめた。俺が今食べている八宝菜やその他諸々は、柳瀬が作ったもの。
「美味い。柳瀬は本当に料理が上手だな」
柳瀬は俺と同じマンション、隣の部屋に住んでいる。共働きで忙しい両親を持つ柳瀬はよく一人になり、俺の所へ来る。来て、食事を作り洗濯や掃除、独り身の俺の世話をやいてくれる。柳瀬は、恐ろしい程に家事が得意だ。
「うれしい」
はにかんで微笑む柳瀬。俺はそろそろこの関係に終止符を打たなければと思っていた。否、そろそろどころではない。早急に、だ。
初めて柳瀬を家に入れたのは、部屋の前で座り込む柳瀬を見つけた日だった。部屋の鍵を忘れた柳瀬を家に入れた。両親は帰らないと言うのでそのまま泊めた。それから頻繁に訪れるようになったのだ。
柳瀬の両親は先生さえ良ければよろしくお願いします、と言う。少しの付き合いだが、柳瀬の両親が柳瀬を愛しているのは知っている。しかし、彼らが家族として一緒にいる時間が短いのは事実。柳瀬が愛を求めているのは、想像に易い。
「せんせ」
柳瀬がソファーに座る俺にくっつく。学校では凛とした優等生の柳瀬だが、可愛らしく俺に甘える。父性を求めているのだと自分に言い聞かせながらも、くらくらしている俺がいた。
だから、だ。あの夜の俺は道を踏み外した。
同期の知り合いとの飲みから帰った俺に、泣きそうな顔で柳瀬は言った。
「先生、僕が授業で50回発言したら、えっちして・・・」
酒に浮かされた俺の返事は是。ある意味では、本心。しかし、素面ならば絶対に返事は非だった。
現在、47回。教師失格、否、人間失格まで、猶予がない。
4
ソファーに座る先生の隣は、僕の特等席です。先生の温かい体に自分の体をくっつけると、幸せになります。肩に頬を寄せると、先生の匂い。僕はもっと先生に近づきたくて、ソファーに膝を立てて、先生に抱きつきました。
「・・・なぁ、柳瀬」
先生が僕の髪を撫でます。
「あの日の約束、無かったことにはできないだろうか」
先生が同期の知り合いの人達とお酒を飲みに行った日、僕は先生の部屋で先生を待っていました。帰って来た先生からは、お酒の匂いがしました。そして、頬や襟には女の人の口紅の赤い色。僕は途端に悲しくなって、涙を堪えました。堪えて、口から出た言葉は。
「先生、僕が授業で50回発言したら、えっちして・・・」
僕は、自分が大好きな先生を困らせるお願いをしたことも、お酒を飲むと人の判断力が鈍ることも知っていました。先生は、そんな悪い僕のお願いを、あっさりと承諾しました。
翌朝起きた先生は無かったことにしてくれと言いましたが、僕は頑として先生の頼みを受け入れませんでした。その日から僕は発言率を上げ、今日の算数の時間に47回目の発言を終えました。もうすぐ、50回です。
「俺は、柳瀬を抱けない。約束が守れないんだ」
僕は首を振りました。先生と繋がりたい。
「僕が、男だから?」
えっちのために、僕はお尻も準備していました。何も知らずに言っている訳じゃない。
「男だから、先生のおちんちん、僕じゃ、ぼっきしなぃの?」
僕は惨めな気持ちでした。そのまま先生の正面に移動して、腰を擦り付けます。
「せんせい、ぃしいせんせい・・・すき」
先生が僕を好きじゃないのは承知の上です。決して僕は先生の恋人にはなれません。えっちくらい望んでも、ばちはあたらない筈です。
「柳瀬・・・」
先生は苦しそうな顔で僕を抱き締めました。
5
柳瀬を抱き締めて、落ち着かせる。暫く柳瀬の頭を撫でて、静かに言葉を紡いだ。
「・・・大人が小さな子どもと肉体関係を持つことは、法律で禁止されている」
腕の中に納まる柳瀬は、俺を見つめた。
「・・・子どもが頼んでも?」
俺は頷く。
「子どもには、まだ正しい判断をする力がない。先生とエッチした後どうなるか、柳瀬はしっかり考えることができない筈だ。そんなことでは、後悔することになってしまう」
柳瀬に言い聞かせながら、柳瀬に流されそうになっている自分も納得させた。柳瀬はそれでも首を振る。うるっと瞳を潤ませた。
「せんせいに、好きな人ができちゃう前に、早くしないといけないの・・・」
おずおずと再び腰を擦り付け始める。ちゅぅちゅぅと俺の首筋に吸い付く。やばい、可愛い。
「せんせい、すき・・・恋人にしてなんていわないから、ぇっちして・・・」
涙目で、おねだり。
ああ、理性がなくなるとはこのことか。
「恋人にして欲しい?」
柳瀬の耳元に唇をつけて囁いた。びくびくと震える柳瀬が俺を見つめる。
「ふぇ・・・?」
「俺の恋人になりたい?」
頬を撫で、額にキスを落とす。柳瀬は頬を染めてこくこくと頷いた。
「なりたい」
小さな唇を塞ぐ。見た目を裏切らず柔らかなそれを堪能する。角度を変えて、何度も舌を絡ませる。
「ちゅ、ちゅむ、はふ、ん、ん・・・ふぁ・・・」
とろんとした瞳で俺を見つめた柳瀬。
「好きだ」
6
先生が僕の服を脱がせます。裸になった僕の、乳首をぺろりと舐めました。
「ひぁ・・・せんせぇ」
ちゅくちゅくと吸われて舐められて、どうしてか腰の辺りがぞくぞくします。
「はぅ、ぅ・・・せんせ、おっぱぃ、へん・・・」
僕の目尻に浮かんだ涙を舐めあげて、先生は微笑みました。
「腰を揺らして・・・いやらしいな。おちんちんをこんなに尖らせて・・・」
ぴんと立ち上がったおちんちんを先生が握り込んで、汁の出る先っぽを擦ります。
「はひ、ん、ぁ、ぁ、くりくり、しちゃ、だめぇ・・・」
おっぱいを舐められながら先っぽをくりくりされて、僕のおちんちんから先生のズボンにとろりと透明な液が垂れました。
「・・・いい子だ。まだ射精しちゃいけない。もっと蜜を出して・・・」
気持ちよくてぽーっとしながら、先生の首に腕を回して、お尻を振ります。先生はくちゅくちゅと僕のおちんちんをいじりながら、とろとろを集めているようでした。
「ぁ・・・おしり・・・」
とろとろを纏った先生の指が、お尻の穴に触れました。ぬるりと一本入ってきます。
「ゃぁんっ」
僕は指から逃げるように腰を突きだしました。いつもいじっている気持ちいいところを先生の指に触られると、おちんちんがきゅんとして、お腹にくっつきます。
「前立腺、ここ?」
先生がぺろりと自分の唇を舐めました。初めて見た、獲物を見つけた獣みたいな先生。僕は、食べられてもいいと思いました。
7
俺の指から前立腺を逃がすためか、柳瀬が腰を突き出す。
「せんせ、らめぇ」
俺の肩に掴む小さな手に力をこめて、ぷるぷると体を震わせる。潤む瞳から、ぼろっと大粒の涙を溢した。
「どうして駄目?」
指をお尻から引き抜いて問う。柳瀬は安心したようで、ほっとした表情を見せた。
「せんせ、さわったら、じぶんでさわるより、いっぱぃ、きもち、から、しんじゃぅ・・・」
「大丈夫だ。死なない」
手の甲で、柳瀬の頬を拭った。ふと、気づく。
「・・・自分で触るより・・・?」
かぁっと真っ赤になる柳瀬。
「だって・・・せんせ、の、おちんちん、いれる、れんしゅぅ・・・」
乱れる柳瀬に膨張していた俺のペニスが、ずくっと更に熱を孕む。
ぐちゅっと一気に三本の指を差し入れて、やはり逃げるように突き出された腰に片手を回して抱き締め、固定した。前立腺をいじり倒す。
「ひゃぁぁぁん!らめ、らめぇっ、しんじゃぅ、せんせ、せんせ、やら、やぁぁっ、ひぁ、ぁ、んん!」
腰を振り、びくんっびくんっと腕の中で痙攣する柳瀬。糸が切れたように、くったりと俺にもたれ掛かった。話には聞く、ドライオーガズム。とろんとした瞳で、ひくひくしながら柳瀬は俺を見る。
「気持ち良かった?」
こくん、と頷く。俺にきゅぅっと抱きついた。
「せんせぇ・・・」
柳瀬がやわやわと、俺のペニスをズボンの上から撫でる。
8
「せんせ、あちゅぃ・・・」
はくはくと息を吐いて、先生にぎゅうぎゅう抱きつきます。先生のおちんちんが、僕のお尻に全部入っていました。少し、苦しいです。でも、さっきの所を先生の太くて熱いおちんちんにぐりぐりされるのを想像した僕はうっとりせずにはいられませんでした。甘えるように腰を振ると、優しく髪をすいてくれていた先生にキスをされました。
「ぁひぃぃん、でりゅ、でりゅぅっ」
先生が僕をソファーに押さえつけて、腰を穿ちます。おちんちんもくちゅくちゅと触られて、僕は腰をくねらせました。
「ぁ、ぁ、きゃんっ、でゆ、ぅ、ひ、くぅぅん・・・」
ぴちぴちっと僕の小さなおちんちんが跳ねて、精液を飛ばしました。先生も僕の中で震えます。
「ひん・・・」
びゅる、と中にかけられて、僕はふるりと身震いしました。
「まさか柳瀬が50回発言する前に俺の理性が崩れるとは・・・」
ベッドの上で僕は足を広げて、先生にお尻の穴を見られていました。
「ひ、ぁ・・・ん」
くぱくぱしているお尻の穴に先生が指を入れて、中の精液を掻き出します。
「はぅ・・・せんせ、こうかぃしてる・・・?」
「幸せだ。後悔なんかしてない。でも、まだしてないと言った方が正確かもな。柳瀬が後悔した時に、きっと俺も後悔する」
僕の頬にちゅっとキスをして、先生は言います。
「後悔なんかしない・・・」
僕は先生をぎゅっとしました。先生が囁きます。
「生徒に惚れて誘惑に負けた犯罪者の言い訳、聞きたい?」
苦笑する先生に、僕は頷きました。
「こんな可愛いの、惚れるなって言う方が無理だろ」