バスタブ
猫、拾いました
1
雨が降っていた。
大学病院に外科医として勤める深水理人(ふかみりひと)は、蝙蝠傘を片手に夜を歩いて行く。いつもと変わらない病院からの帰路。辺りに人はいない。暗く狭い道は路地裏の様相をしていた。今にも自分を溶かし込んでしまいそうな闇に酷く安心感を得ながら、雨音の中、良く手入れされた靴を静かに鳴らす。
理人は能力にも容姿にも恵まれていた。悲観的になったことはない。しかし同時に、何に対しても楽しいと思うことはなかった。
外科医になったのはほとんど流れだ。性には合っており、冷静な判断と高度な手術技術には定評がある。患者やその家族から感謝を述べられることはほぼ日常になっていた。しかし、それが生き甲斐になることもない。自分がいなかったなら誰かがやったこと、そう思った。
生きる理由もないが、死ぬ理由もない、と理人は考える。鬱病とはまた違う、虚無を生きる感覚。生まれた時から変わらないそれは、性質という言葉がよく似合う。
「・・・」
白い何かが視界に入った。僅かに歩幅を開き、近づく。白は、雨を浴びてぐっしょりと濡れた布。生白い腕がはみ出している。布を捲れば、少年が裸でぐったりと横になっていた。獣の耳と尻尾が生えている。コートが濡れるのもいとわずに、理人は傘を閉じ、雨水を吸った布ごと少年を抱き上げた。
冷えきった少年は、辛うじて息をしている状態だった。理人はお湯をためた浴槽に裸の少年を浸からせた。白い身体が湯の中でたゆむ。黒い睫毛に飾られた瞼が開いた。くりりと大きな猫目が理人を捕える。黒々とした瞳に光が差した。
「・・・だれ・・・?」
恥ずかしそうに膝を折り、腕で抱える。浴槽の端で小さく縮こまった。
「俺は深水理人です」
「・・・ふかみり・・・?」
上目遣いに理人を見つめる。青かった唇は血の通った色になっていた。
「深水、理人です。理人で構いません」
2
冷たく濡れた黒髪にシャワーで温かいお湯を掛けてやる。肌の色が桃色になる様を眺めた。浴槽から抱き上げる。向かい合うように膝に乗せた。理人のズボンが濡れる。少年の太ももの付け根に、黒い焼き印を見つけた。「chouchou」とある。
「これは・・・」
少年は俯いた。理人は指で焼き印をなぞる。敏感な内腿を撫でられ、こそばゆさから少年の黒い耳がぴくりと反応した。
「・・・シュシュ」
わしゃわしゃとシャンプーでシュシュの黒い髪を洗う。人間のものではない耳の付け根に触れた。確かに、生えている。確認するように何度もなぞった。
「・・・ふみゅぅ、ぅ・・・」
瞳を潤ませ睫毛を震わせ、堪らないとばかりに尻尾と腰をくねらせる。理人はボディーソープを手のひらに出した。優しい手つきでその身体に泡をたてていく。シュシュは気持ち良さげにひくひくと震えた。
「これも、本物ですか?」
泡を纏った理人の手が黒い尻尾を撫でる。
「にゃんっ」
小さな手が、ぎゅっと理人のワイシャツを掴んだ。尻尾の根本を撫でる。本物だった。
シュシュを浴槽に浸からせ、濡れた服を脱いでシャワーを済ませた。浴室から出て、身体を拭いてやる。子ども服はもちろん、下着もない。小児内科の開業医だった祖父の残した小児用の検査着を着せた。
ベッドに寝かせ、毛布を被せる。寒気がするのか、シュシュは縮こまる。
「熱が出るのかも知れません。・・・もう一枚毛布を用意しましょう」
ベッドの傍を離れようとした理人の手を、シュシュが掴む。
「りひと・・・」
「・・・そこのクローゼットを開けるだけです」
頭を撫でてやる。それでも手を離そうとしないシュシュに根負けして、理人は毛布に潜り込んだ。シュシュを抱き締める。かぁ、と頬を染めて、理人を見上げた。
「俺では毛布の代わりにはなりませんか?」
手のひらで包むように、桃色の頬を撫でる。シュシュはうっとりと微睡み、やがて眠りに就いた。
3
理人はベッドから出て携帯電話を取る。シュシュについて、理人の中には一つの有力な仮説が浮かんでいた。数回の呼び出し音の後、男の声。
『深水君が電話なんて珍しいじゃないか。だけど申し訳ない。実は今、凄く忙しいんだよ』
年の功が滲む穏やかな老人の声だが、言葉からは、理人が知る彼にしては珍しく、焦りが感じられた。心なしか息も切れている。理人は、真夜中の電話であることを一言詫び、用件を切り出した。
「教授がお探しの愛玩動物に心当たりがあるのですが」
電話の向こうで男が言う。
『・・・Vraiment?』
真夜中、すやすやと眠っているシュシュを抱いて、大学病院の裏でタクシーを降りる。雨は止んでいた。医師達が待機する病棟ではなく、地下の研究室へ向かう階段を下りる。暗く長い廊下を歩き、ある扉の前で立ち止まる。
「ぅ・・・?」
ぱちりとシュシュが瞳を開いた。理人を見つめ、周りを見回す。途端、顔を青くして理人にしがみついた。理人は黙って扉の傍の機械に指紋を認証させ、開いた室内に足を踏み入れる。
「ああ、本当に良かった・・・!」
理人を出迎えたのは60程の男。日本人とフランス人のハーフである彼はシュシュの姿を確認し、安心して彫りの深い容貌を緩ませた。
「お久しぶりです。相模教授」
「深水君、本当に久しぶりになるな。・・・かけたまえ」
震えて理人に抱かれているシュシュに困ったような表情をして、相模は理人をソファーに案内した。
「・・・賢い君だ、それが何か、もう分かっているね」
小さく頷き、理人はシュシュの髪を撫でる。
「それで、このシュシュが完成形ですか?」
そうだ、と相模は答えた。
「大学で君に語った、私の夢の結晶だよ。研究の過程で私と研究室に恐怖心を持ってしまったようでね」
そう言って、寂しそうに微笑む。
4
暖かい季節は、皺一つない真っ白なワイシャツに黒のパンツ、革のベルト。寒い季節は黒いカーディガンとコートで体温を保つ。いずれも名のあるブランドのもので、年上の恋人がいるのではないかと噂になった。実際その通りであり、美しい男を連れ歩くのが趣味の、若くして編集長という地位に就く女性と付き合っていた。
理人はその時、黒髪の若き美貌の大学生だった。当時から、どこか陰鬱な雰囲気を纏っていた。
講義が終わり、理人は理学部棟を出るため廊下を歩いていた。急いだ様子で走る生徒が理人を抜かしていく。直後、生徒は角から現れた教授にぶつかった。教授の抱えていた書類は廊下に散らばる。ぶつかった生徒が謝りもせずに消えたのを視界の端でとらえ、理人は床に落ちた紙を拾った。フランス語で書かれた実験記録らしい。
「chouchou・・・愛玩動物・・・?」
「そう、愛玩動物。君はフランス語をとってるのかい?」
理人は首を振る。
「いえ、第二外国語はドイツ語です」
紙の上の図に目が留まった。呟く。
「ここでなぜRNAが・・・RNAはDNAよりも不安定な核酸だと・・・、すみません」
理人は、はたと他人のものを不躾に眺めていることに気付き謝った。立ち上がり、拾った数枚の紙を教授に手渡す。
「構わないよ。見られて困ることもない。こんな数枚の記録だ。私の研究分野でもわかったかい?」
からかうような瞳。
「生命の起源、もしくは、ウィルスによる遺伝子の書き換え。キーワードは・・・キメラといったところでしょうか」
「・・・驚いたな。君はどこの教授に師事してるんだい?僕の院へも顔を出してみないか」
理人は床に置いた鞄を持ち上げる。教授を見つめた。
「俺は院生ではありません。それに、医学部生です」
絶句する教授に、理人は会釈する。背を向けた。次の講義は医学部棟で行われる。
「待ってくれ。・・・君さえ良ければ私の実験に付き合ってみないかね」
ゆっくりと振り返った理人に、教授は言う。
「私は相模。研究分野は、人為的かつ部分的な遺伝子操作だ」
5
相模が紅茶を淹れる。
「このシュシュは二号なんだ。一号の兎のシュシュは、研究を支援してくれているこの大学病院の院長のご子息に気に入られてね。シュシュの方も彼を気に入った様子だったから献上したよ。・・・召し上がれ」
香りの良いアールグレイが理人の前に差し出された。
「・・・教授と研究室に恐怖心を持たせた実験とは何ですか?」
相模は頷いてソファーから立ち上がり、棚からボトルを取り出す。
「これだよ。飲み薬なんだが、酷く苦い。成分の関係で、液状のものを口から摂取させる必要があってね」
まだ暫くは薬を投与し続けなければならないのに、と言って、相模は透明な液体が入ったボトルを机に置いた。
「君が見つけてくれて良かった。入浴中に逃げ出したものだから、心配していてね。裸同然だし、外は雨で気温も低かった。何より薬を投与する時間は、前回投与の20時間後から4時間以内と決まっている。そろそろなんだが・・・」
ピピピとタイマーが鳴る。シュシュが理人にしがみついた。どくどくと異常なくらい脈打ち始めたシュシュの心臓に、理人は眉をしかめる。
「これでは寿命を縮めかねませんね。兎のシュシュは嫌がらなかったのですか?」
「勿論嫌がったよ。だが、件の彼に口移しで与えられるようになってから変わってね。そうだ・・・二号は君になついているようだし、どうだろう、君が口移しで与えてやっては」
さもなくば、いつも通りあれを使うしかない、と相模は子ども用の赤い椅子を指差す。所々に不釣り合いな黒い革のベルトが巻き付けられていた。
「私を見てください」
理人は胸に埋まるシュシュに囁く。顔を上げたシュシュの涙を拭った。額にキスを落とす。
「ゆっくり目を閉じて、俺が言うまで、決して開いてはいけません。・・・そうです。いい子だ・・・」
ちゅ、と唇を啄んだ。唇を抉じ開けて、舌を入れる。くちゅくちゅと音をたてて口内を愛撫した。
「は、ぁ、ん、ふ、ちゅ、ちゅ・・・」
優しい舌に翻弄される。シュシュはキスに溺れた。
6
唇を離すと唾液が糸を引いた。シュシュは気持ちよさに身体を震わせる。正常な心音に戻っていた。ゆっくりと瞼が上げられ、姿を見せたシュシュの潤んだ瞳に苦笑する。穏やかにたしなめた。
「まだ、瞑っていてください。・・・唇を開いて」
小さく唇を開くシュシュ。愛らしいそれは期待に震えていた。理人は薬を口に含む。確かに、酷く苦い。再び口づけた。
「ん、ぅ」
苦味に、シュシュの身体が緊張する。理人はシュシュがこくりと液体を嚥下したのを確認し、口づけを深くする。
耳をひくひくと震わせて、尻尾をゆっくりと揺らす。頬を染めて、ふにゃりと力の抜けた身体を理人に預けている猫に、相模は苦笑した。凄いものを見せつけられた。
「・・・深水君、研究に付き合って貰えないだろうか。君さえ良ければ、と言いたいところだが、これは強制するしかないようだ。なつくどころか、二号は君に恋をしている」
「恋?・・・執着による発情のプログラムが完成しているのですか?」
相模は頷く。
「人の形を取りながら動物の発情プログラムでは趣がないだろう。シュシュはほぼ人と同じ発情プログラムを備えている」
相模から薬とタイマー、シュシュの服等一式貰い受ける。シュシュは理人と暮らすことになった。
「そうと決まればここは引き払おう。これからシュシュを創ることはないし、学会に発表することもしない。シュシュを創るために発見したいくつかの事柄で論文を書けば、余生を過ごす分には困らないだろうからね・・・。何かあればまた私の携帯にかけたまえ」
相模の表情は、やりきった人間のそれだった。
「あと、二号には君が名付けてくれないだろうか。一号も院長のご子息に名前を貰っていて、既に一号ではない」
相模の言葉を受けて、理人はシュシュの柔らかく白い頬を撫でる。呟いた。
「・・・ニコ」
二号をもじっただけだったが、思いの外この猫のシュシュに似合っていると感じられた。理人は自分に向けられた蕩けるような黒い瞳を見つめる。
「今日から、あなたの名前はニコです。よろしいですか?」
7
恋をすることはシュシュにとって大きな変化だ。特定の人間に執着する。相手を慕い、性的な器官が開花する。狂うような性欲に、誰彼構わず求めてしまう発情期とは異なるそれは、とても複雑なプロセスを介して生じる。
ニコは、恋をしている。
朝、寂しそうに理人を見送ったニコは、仕事から帰った理人を玄関で迎えた。
「昼食はきちんと取りましたか?」
頷くニコの頭を撫でる手。時折肌に触れる指の冷たさが心地良くて目を細めた。
「晩御飯は魚のムニエルにしようと思っています」
理人に並んで、リビングに入る。
「お魚・・・」
猫だからきっと好物は魚だろうという理人の考えを裏切らず、ニコは魚が好きだ。理人に聞こえない小さな音だったが、くぅ、とお腹が鳴る。
「おや」
エプロンを着けた理人はキッチンに立って、あることに気づいた。
「ニコ、ご自分で片付けられたのですね」
朝、理人がニコのために作った昼食に用いた食器は、綺麗に洗われ、水切りカゴに並んでいる。ニコは不思議そうに理人を見上げた。
「朝、理人が洗ってるの見て・・・」
「小さいのに、一体どうやって?」
ニコの身長はシステムキッチンより少し高いくらいで、とてもシンクが使えるとは思えない。
「椅子に立って、洗剤とスポンジを使ったの・・・」
驚きつつも誉めてやると、ニコは愛らしくはにかんだ。
「・・・ん、ちゅ、ぅ・・・」
ニコに口づけ、薬を飲ませる。与えられた液体を頑張って飲み干したニコは、キスをねだった。
「りひと・・・」
もじもじと恥ずかしそうにしながらも、理人の唇にちゅぅと吸いついて、ニコは愛を乞う。理人は柔らかな唇を塞いで、濃厚なキスを与えた。
「ちゅ、はふぅ・・・ん、ん・・・はぅ・・・にゃ、ん・・・」
腰を震わせ涙を流す。股間はぐっしょりと濡れていた。
「あぁ・・・キスだけでもうこんなにして・・・」
力なく震える黒猫の耳に囁く。
「まだまだ、夜はこれからですよ?」
8
黒い艶やかな毛に覆われた耳と尻尾が震える。手で触れて、撫でた。理由など、考えてはいない。
雨の夜に変わった猫を拾った。拾わないという選択もあった。それでも、拾った。
飲み薬を口移しで飲ませた。飲ませないという選択もあった。それでも、飲ませた。
相模に言われるまま家に連れ帰った。連れ帰らないという選択もあった。それでも、連れ帰った。
選択の場面は無数にあり、どの場面にも無限に選択肢があった。発した言葉の一つ一つも、元を辿れば選択だ。そして、現在の状況は選択の結果だと言える。
理人は、ニコに関する自分の選択の場面を思い出す。何も考えなかったわけではない。しかし、選択の理由を一々明確にしてはいない。それらは、病人の手術の是非を選択する場面とは明らかに異なる。全て、理由の明確さを求められていない選択だった。
ベッドの上で震えている猫を、可愛らしいと思う。たくさんのキスと愛撫で、可愛がりたいと思う。理由の明確さは、求められていない。
裸に剥いて足を開かせ、勃起して蜜を垂らす小さな性器を口に含む。
「はみゅぅ・・・ひゃあ・・・」
ぬるつく口内に迎えられた敏感な性器は、快感にびくびくとうち震える。全体を唇で扱かれると、ニコは腰を揺らめかせた。
「おちんち、しゅごぃの・・・ふ、はぁん、ぁん、ひ、は・・・」
じゅぷじゅぷと激しく扱けば、泣きじゃくって腰を痙攣させ始める。先端を舌で擦りたてた。
「ひっ、ぁぁ、ふぁあぁぁ、ぁんっぁんっ!らめぇえ・・・!」
先走りを送り出す尿道がぱくぱくしている。ちゅ、と吸った。
「ゃぁぁ・・・!ふにゃぁぁあぁんん・・・っ」
ニコは白い裸体を淫靡にくねらせると、びちゅっびちゅっと断続的に幼い性器から精液を吐き出す。
「ひ、はぁ、はぁ・・・ぅふぅ・・・ひっく、ぅ、ふっ」
気持ちよすぎて強く丸めた爪先が痛かった。全身を襲う余韻にすら身悶える。わけもわからず、ニコはぽろぽろと涙を流す。
「すみません、ニコはフェラチオも射精も初めてでしょうに、あまり可愛く泣くものですから、つい・・・」
ニコの目元に唇を落とした。謝りながらも、しゃくりあげて泣くニコの可愛さに、理人は反省し自粛するつもりはない。
9
たっぷりのローションを使って、丁寧にアナルをほぐしていく。前立腺に触れることは後のお楽しみにわざと避け、拡張することに集中した。まだ取り出してもない自らの性器が、ニコの痴態に未だかつてないほど張っているのを感じているからだった。痛みに泣き叫ぶ姿を見たいとは思わない。
「ひにゃ・・・ぁ」
ぴとりと、指ではない熱いものがアナルに触れた。仰向けのニコは視線を上げた。鼻先に理人の鼻が触れる程、顔が近い。ニコはどきどきした。
「・・・ニコの中に俺を入れてよろしいですか?」
額が合わせられる。吐き出された悩ましい男の溜め息に、ニコの胸はきゅんと締め付けられた。
「・・・ぼくに、りひと、を・・・?」
理人を伺う。穏やかだが熱を孕んだ瞳に捕えられた。染み渡るように、熱が全身を廻る。
「ひゃぁ・・・」
爪先まで、溶けてしまいそうに熱い。ニコは唇を震わせた。熱い杭を受け入れる。
「ぅみゅ・・・ふ、ぅ、ぅにゃぁぁん・・・」
アナルを蹂躙する性器を、ニコはきゅぅきゅぅと締め付けていた。
「は、ニコ・・・気持ちいいですか?」
固く膨らんだ亀頭で、ぐりりと前立腺を刺激する。
「ぁはぁぁん・・・きもちぃ・・・」
腰を大きく震わせて、ニコは瞳を潤ませた。理人は腰を振る。性器が何度もアナルを擦り上げた。擦れ合う結合部からは、ずちゅずちゅっといやらしい音がしている。
「ひぁ、ぁ、ふにゃぁんんっ」
快感に胸を反らすニコ。いやらしく尖る桃色の乳首が、理人の目に留まった。
「おや・・・これはまた愛らしい」
ほくそ笑み、舌を這わせる。舐められ吸われ、理人の唾液を纏ったニコの乳首は潤った。てらてらと、淫靡に光る。
「はひ、んく、ふ、ぅ、ぅ・・・」
舌の次は指先で弄られた。くりくりと優しく刺激されて、性器の先端からは先走りがぷくっぷくっと珠になって零れる。
「ん、はみゅぅう・・・りひと、りひと・・・おしりも、して・・・おちんち、おしりにごりゅって、して・・・おっぱいだけじゃ、ゃぁ・・・」
卑猥なおねだりをした唇をキスで塞いで、理人は激しく腰を打ち付けた。
激しい性行為にくったりとして自分にくっついているニコを撫でる。自ら欲望をもって触れた他者は、ニコが初めてだった。今までずっと、来る者拒まず去る者追わずの受け身だった。
「ニコ・・・」
嬉しそうに耳と尻尾が揺れた。汗ばむ白い肩に唇を落とす。愛おしいと、思った。